最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)2416号 判決 1952年4月01日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人太田周市の上告趣意は末尾添附の書面記載のとおりである。
刑法一七五条にいわゆる「猥褻」とは徒らに性慾を興奮又は刺戟せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反することをいうこと当裁判所判例の示すところである(昭和二六年(れ)一七二号同二六年五月一〇日第一小法廷判決)。そして原判決のこの点に関する判断も亦これと同旨に出でたものであって、論旨は原判決に対する独自の解釈を前提とするもので理由のないこと明らかである。
なお記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。
よって同四〇八条に従い全裁判官一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)